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演奏会【反田恭平さん効果で満席、NHK交響楽団のスクリャービン・プログラム】

演奏会の簡単な感想を書き留めています。

第2013回 定期公演 2024年6月9日(日)
 スクリャービン:『夢想』作品24
 スクリャービン:ピアノ協奏曲嬰ヘ短調作品20
 スクリャービン交響曲第2番ハ短調作品29
 指揮 原田慶太楼
 ピアノ 反田恭平

まずは、原田さんのデイトン・フィルハーモニック管弦楽団オハイオ州)の次期音楽、芸術監督就任決定おめでとうございます。聞けば、最初の顔合わせとなった演奏会から数か月で決定したというスピード人事だったとか。サヴァンナ・フィルも継続ということで米国中心の活動となるようです。
たくさんの演奏会に行ったわけではありませんが、自分にとって原田さんは、ハズレのない当たり指揮者なので、本音では日本で腰を据えた活躍をしていただきいところ。現在、正指揮者のポストにある東京交響楽団で、ジョナサン・ノットの任期が切れる26年4月から音楽監督とかどうでしょう・・。

オール・スクリャービン・プロ

さて、この日のN響定期はオール・スクリャービン・プログラムでした。しかも、色彩うんぬんで有名な『法悦の詩』など後期の交響曲ではなく、管弦楽の作曲に着手した最初の作品であるピアノ協奏曲から、レア曲の交響曲第2番までの初期作品が並んでいます。
また、あとで知りましたが、こんなスクリャービンの初期マイナー曲の演奏会なのに、土日の2日間ともチケット完売だったとか。これはピアノの反田恭平さんの集客力であることは間違いない。
今のクラシック音楽界は若手の人気ピアニストたちが牽引していることが良くわかります。
N響に限らず、他の楽団も人気ピアニストを招いて完売を狙ったと思われるプログラムが目に付いたりするんです。

ピアノ協奏曲

改めてピアノ協奏曲を聴いて思うのは、他のピアノ曲などを聴いてもメロディ・メーカーであると断言できるスクリャービンによる、憂いとロマンティシズムを秘めた名曲であること。
よく言われるような、ショパンや盟友ラフマニノフの影響うんぬんを強く感じることもなく、またオーケストレーションが弱いとも言われてますが、ショパンの協奏曲の管弦楽に比べればよほど魅力的。
ただ、そんなに聴き込んだ曲ではないので、この日の反田さんのピアノがどうだったかまで言及できず、益々この曲を好きにさせてくれたとだけコメントしておきます。

交響曲第2番

この交響曲は、後期ロマン派的なむせかえる・・とまではいかないまでも抑制のある陶酔感が、それなりに気持ち良く、また、わかりやすい旋律の循環形式で構築された隠れた名曲であると言えます。
ただ曲尾のジャーンという終わり方が古典や初期ロマン派っぽく、チープでヒネリがなく惜しいかなと思う。
また一方、ネットではこの公演の感想に、終楽章が冗長ではと書いてあるのを何件か見ました。確かに作曲家本人も気に入ってはいない終楽章ですが、自分は曲を強く印象付ける効果があるとは感じましたが、決して冗長とは思いません。
そんな、人に教えたくなる魅力ある交響曲を、実にエネルギッシュに展開した原田さんの指揮ぶりに圧倒されました。こんなマイナー曲でブラボーがかかるのも納得の演奏。

反田恭平効果

ピアノ協奏曲では、どうやら前に座るおばさまが反田ファンのようで、双眼鏡で見ていたり前屈みになったりで、後ろの席の自分は反田さんの手元が全く見えない。まぁそれはそれで、おばさまが音楽を楽しんでいるなら良いと思っています。
そして、そのおばさまの連れと思しき中~高校生くらいの娘さん(孫かな)が並んで座っていました。いえ、特に観察していたわけではないのですが、視界にはお二方が否応なしに入ってしまうので。
熱心にピアノ協奏曲を聴くおばさまに対して、反田さんに興味がないのか、娘さんは最初から睡眠されているご様子。
これが後半プロの交響曲になると逆で、背もたれに体を預けて動かなくなったおばさまに対して(視界が開けた)、娘さんはパンフの曲目解説のページをずっと開いたまま、熱心にレアな交響曲に聴き入っている。
これだ、と思いましたね。若手ピアニストがクラシック音楽界を牽引している効果。
全くの想像ですが、きっとおばさまが反田ファンでなかったら娘さんはN響を聴きに来ることもなかったのではないか。柔軟な頭を持った若い世代ですから、スクリャービンに目覚めて名作の多いピアノ曲なんかに開眼しつつ、こんどは自ら例えばファビオ・ルイージを聴くためにNHKホールに来るようになるのではないか。
今や若い聴衆の獲得は各楽団に留まらず、日本のクラシック音楽界全体の死活問題です。

投票受付開始

昨日で2023-24年のN響定期公演のAシリーズが終了しました。これにより『最も心に残ったN響コンサート&ソリスト2023-24』の投票が始まっています。これは、ホールやテレビ、ラジオで聴いたN響公演から、心に残ったベスト3と、合唱を含むベストソリストを投票する企画。
まだBとCシリーズの最終公演が残ってます。Cシリーズの沖澤のどかさんの公演には行きたいものの、2日間とも外せない用事で行けないので、さっそく投票することにしました。

本シーズンのN響は、数えるとAとCシリーズまぜまぜで合計9公演(第九を入れると10公演)をホールで聴いていました。テレビやラジオでは、ホールで聴いた公演を後追い視聴するくらいで積極的には聴きません。
この中からベストワンを挙げると・・いや、まだ順位は決められませんが、ソヒエフのプロコフィエフロメジュリ』、この投稿のスクリャービン・プロ(原田、反田)、フリーヘル編曲のワーグナー『指環』(ルイージ)、ローマ三部作(ルイージ)、この中から3つ選ぶことにします。
ただし、人気投票一位は間違いなくマーラーの千人の交響曲でしょう。自分もホールで聴いていますが、体調が悪かったのか、実はそんなに感銘を受けなかった演奏なのですが。

以上