還暦ダイアリー

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演奏会【具合が悪そうなのにラヴェルの超名演奏を放つシャルル・デュトワさん、そして阪田知樹さんの無駄遣い】

新日本フィルハーモニー交響楽団 第657回定期演奏会
 2024年6月11日(火)サントリーホール
 指揮:シャルル・デュトワ
 ピアノ:阪田知樹
 ハイドン交響曲第104番ニ長調『ロンドン』
 ストラヴィンスキーバレエ音楽ペトルーシュカ』(1911年原典版)
 ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲

今回の公演の指揮はシャルル・デュトワさんです。この方らしい豪華な名曲プログラム・・なんですが、サントリーホールへ向かう途上、もう少し突っ込んだプログラムを聞かせて欲しいなと考えてました。これは昨年の幻想交響曲を聴いた際にも感じたこと。
N響の公演に乗せたプロコフィエフとかエレクトラの名演奏を忘れてはおりません。録音済みの曲で言えばオネゲルとかショーソン交響曲とかでも良いですから。
しかし、結果オーライ。名演を聴いてしまった直後はそんな考えはすっかり忘れてました。

ハイドンのロンドン交響曲
これはいいですね。流麗でしなやかに楽想が沸きつつ、的確なリズム感で構築される古典音楽。意外な組み合わせに思えますが、かつてモントリオールシンフォニエッタ)とパリ交響曲集を出してます。今、これを書きながら手元にある第83番の『めんどり』を聴いております。

ペトルーシュカ
原典版です。流通しているほとんどの録音は1947年盤で、手持ちの音源でも唯一マゼールだけが1911年の原典版
この曲は諧謔的で乾いた音が苦手なのですが、4管編成の原典版は重心の低い響きが心地よく、P席から各楽器の磨かれた音の交差を楽しんで聴いておりました。が、途中なぜか集中力が途切れます。これは多分自分のせいなんですが、その時デュトワさんを見ると咳を堪えているようで苦しそう。カーテンコール後の一般参賀に出てこなかったらしいので、相当にお疲れだったのか。
それでも、この曲を原典版で再評価できたことは大収穫。

ダフニスとクロエ 第二組曲
投稿はしてませんが、春先に音楽大学選抜のフェスティバルオーケストラで合唱付きの全曲公演を聴いており(指揮はカンブルランさん)、これはこれで、若さとお祭り感がさく裂した演奏が大変良かった。
デュトワさんはまた違って、ソロは奏者の自律性に委ねつつ、ラヴェルの鮮やかなオーケストレーションを最大限に活かすうねりやバランスで冒頭の『夜明け』から引き込まれます。勢いに任せたりしない、曲が完全に手の内にある揺るぎない名演奏でした。

通しで、まずコンサートマスターの崔さんがMVPではなかろうか。動きが小さくなったと言われるデュトワさんの指揮を補うように上下左右に動く動く。毎曲後にデュトワさんからハグされてました。

 

そして、フルート主席の野津さん。ペトルーシュカとダフニスとクロエ両曲で、引き込まれるような息の長い素晴らしいソロを聴かせてくれました。
野津さんはデュトワさんに前まで引っ張り出され、本人が尻込みしているのを半ば強引に指揮台に上げさせられて、会場とオケのメンバー双方からの喝采を受けます。

 

このように、オケのメンバーが指揮者から指揮台に上げさせらるのはよくあるのでしょうか。少なくとも自分が目撃したのは生涯これで2回目。

前はスヴェトラーノフNHK交響楽団の公演で、語り草にもなっているダイアナ妃の葬儀の日に行われたチャイコフスキー第5番の演奏。プリンセスに捧げられた第2楽章で、当時首席の松崎さんは涙なしではいられない素晴らしいホルン・ソロを聴かせてくれました。カーテンコールで、やはり尻込みするところをスヴェトラーノフさんが強引に指揮台へ立たせたのです。

最後に、ペトルーシュカでピアノを弾いた、集客力のある人気ピアニストの阪田知樹さんが無駄遣いっぽくなかったか。24-25シーズンの速報が出たときは、確かデュトワさんの公演だけ曲目が未定だったので、てっきり協奏曲をやるもんだと思ってた。もともとデュトワさんは80年代には協奏曲での名指揮でも有名でしたからね。それでアルゲリッチを射止めたくらいですから。

 

さて、年に7回しかない新日本フィル定期演奏会は9月までお休み。でも、残りの4回は大曲ぞろいの楽しみなプログラムが続きます。
 24年09月 ブルックナー交響曲第7番他(佐渡裕
 24年11月 ショスタコーヴィチ:『レニングラード』(井上道義
 25年01月 マーラー交響曲第9番佐渡裕
 25年03月 メシアントゥーランガリラ交響曲久石譲