還暦ダイアリー

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日記【チープなグラボで始めた生成AI超初心者、その後の経過】

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今回も前回に引き続き、最初はAI美人にこだわって再開

はじめに

先週、毎夜のイメトレ練習が欠かせない程の難曲を歌った合唱団の本番が終わり、気持ちに多少余裕が出てきました。ただ、時間に余裕ができたわけではないのが辛いですね。
以前、お盆連休の際に足掛け二日間だけ、多少興味がありつつも手を出す時間が無かった生成AIを試しました。その結果は既に投稿しており、この時は何と言うか、AI美人が生成できて単に喜んでいる感じがあります。

今回、気持ちの余裕を受けて生成AIいじりを再開しました。前回の「お試し」的な位置づけから、今回は「超初心者」ながらそれなりに腰を据えた試行錯誤を実施しています。

 

[ご参考:AI美人が描けて素直に喜んでいた前回の投稿]

 

尚、前回も書いたとおり、お金をかけたくないのでクラウドサポートやWEBサービスを使わず、チープなグラボ(NVIDIAのGTX1060 VRAM-3GB)が載った自作PCのみで回しています。

AIツールは引き続き「Stable Diffusion Web UI」(SD1.5)。載せた画像は全て縮小してありますが生成サイズは1024 x 768です。

 

今回も結論から先に

今回も経過詳細は後述しております。

いろいろ作画していると、ベースモデルをマージすることで発展してきたAI-MODELによるリアルな美人画がいずれも同じ顔に見えてきて、そのうち飽きるのはないかと思うようになりました。まだ飽きられるのは良くて、AI臭いと敬遠されかもしれない。

また、AIそのものについての限界を感じます。つまり女性の上半身のみに特化していて、他の何かを表現したいと試しても学習していないものは表現できない。このままであれば、前回の投稿で危惧したプロのイラストレータが仕事を奪われる事態に至ることはないかもしれません。

しかし、これはAIが過渡的な成長期にある今だけの話かなと思います。

AIの驚異的な進化を鑑みれば、プロのイラストレータの筆致を超える表現力を得ることは自明。前回も書いていることですが、イラストレーターに絵を描く能力が要求されなくなる予感があります。プロンプトを自在に操る言語能力があればいい。

そして、これも前回書いてますが、エンジニアも職を追われるようになるでしょう。技術職にはAIが容易に肩代わりできる論理的思考やプログラミングへの習熟、数学的能力などが一切必要無くなり、やはりプロンプトを自在に操る言語処理能力だけが求められるようになる。

要点を押さえたざっくり仕様をプロンプトを用いて組むだけで、AIが最適に要件定義した上で分散して細部までつくり上げてしまう。

現役のエンジニアが、いやいやそんな時代はまだ先、と思っている間に、いつのまにか考え方も資質も異なる新しい世代のニュータイプ・エンジニアが現れるのではないかという予感があります。しかも今から数年という短い間に。

何しろ、この世で一番不必要になるのは、広義の意味でのマシンを制御するための、人間と機械とのインタフェースであるプログラミング言語だと思うのです。AIにとってみれば人間がプログラミングするということが最も効率が悪くて不必要なプロセスになりますから。

・・現在の話に戻ります。

近い将来の話はともかく、少なくとも今のところはプロのイラストレータの筆致を、現在のAIモデルが真似る、つまりは作家の個性まで再現することは難しいと思います。

その一方で、もともと趣味で描いていた自分のような日曜イラスト描きは、そもそも絵の個性に乏しい。だから、AIに描かせる絵をいかに自分が描きたかった絵に近づけるか、それは言い換えれば描きたかった絵に近いAI画を探すことで、素人のイラスト描きが生成AIを使って個性を表現できるようになるのではと期待します。

前置きが長くなりましたが、今回の一連の作業で気に入った絵を三枚、ピックアップしてみました。リアルさよりもイラスト的な平坦さを求めています。

 

リアルから始まって線の数と色の階調が極力少なくなるイラスト的表現を求めた結果。いい感じにフラット化、モノトーン化されており、さらに味わいまで出ています。尚、手に持っているのは「筆」。もちろん筆を描画させてはおりませんが、筆が描画されてしまう理由はあります。面倒なので修正してません。この絵はプロンプトのみを使用。

 

上記とは別のビビッドな発色と3D感が持ち味のCARTOON系AI-MODELを、敢えてSaturationや階調を落としてフラット化させ、線を細くしてみました。変わったペイント効果も試しています。LORA使用。いい感じです。顔の造作の個性に関しては、まだまだやれることがありますが、オリジナルのままよりも細やかな表情が浮き出ています。

 

最初の到達点かな。こういうタッチで描きたかった。自分の過去の素人イラストを知っている方々には納得していただけるように思えます。

昭和の居酒屋の壁に貼ってある酒造メーカーのポスター的。おくれ毛から滲む艶感がポイント。そして、この前の前くらいの描画で使った色をAIが覚えていて、着物の内側に非常に効果的な朱の差し色を入れてくれた。このおかげで艶やかさが増したことを高く評価したい。

また、AI超初心者の自分には雪夜の表現がとても難しかった。どこまでも明るい空とか、nightを強調しているのに陽の光が差し込んだりと難儀。何度も何度も繰り返してようやくここまで表現できました。

細部の描画が壊れていたり、そもそも着物が変ですが、良い全体バランスを崩したくないので修正してません。むしろレタッチで修正や雪足しなど手を加えたい思う。フォトショップが欲しい。

 

次の項以降で、一連の経緯を遡って説明します。細かい話なので興味のない方は見られなくても大丈夫です。

 

経緯①:まだAI美人が描けただけで喜んでいた頃

見出しのとおりです。前回のお試しの続きなので、この時はまだAI美人にこだわっています。ですが、改めて生成AIで描画してみて、俗に『美人は三日で飽きる・・』的な迷言がAI美人にも通じることに気が付きました。しかも美人画を得るまでの垣根は低く、誰でも割と簡単に生成できてしまう。

 

この美人が割とシンプルなプロンプトだけで描画できてしまったことに拍子抜け。と同時に、こういうのを何枚描画したところで、いずれ描く側も見る側も飽きるのではないかという想いが持ち上がる。尚、籐椅子の造形がおかしいのはご愛敬。

 

手の指をご覧ください。右手は指が7本くらいある。せっかくの美人なので、ネガティブ・プロンプトに[Bad fingers]を入れて修正をかけた。

 

そしたらこれ。特に性的表現を導くプロンプトを入れてないのにエロ展開してきた。前回から引き続き、お○ぱいとの戦いが続いている。この次から [小さい胸] 的なプロンプトを入れるようになりました。

 

経緯②:納得できるAI-MODELを探す、その1

経緯①の三枚は同じAI-MODELを使っているので顔もリアルな表現も同じでつまらんと感じていたので、続く4枚は傾向が極端に異なるAI-MODELを、ほぼ同様のプロンプトを使って試し描きしてみたものです。

この時はリアルより自分がこれまで描いてきたようなイラスト調で描きたいと考え始めていたので、多少くすんではいますが、2枚目のAI-MODELが気に入りました。

 

blue eyesを入れたままだったので眼が青い

 

これが気に入った

 

 

 

経緯③:現状のAIの限界的なものが見えてくる

ここまで、アレコレとプロンプトを変えて描いてみて判明したことは、当たり前なことですが、いずれのAI-MODELも女性の上半身のみに特化していることで、それ以外を描こうとすると壁にブチ当たる。つまり、学習していないことは何もできないんです。

 

試しに[young boy]で少年を描画してみる。直接年齢を指示したり、モデルを変えるなどして何度試しても髭ヅラの30代男性が出てくるなど、全く期待通りにならない。

一枚の描画に時間がかかるほか、SSDの容量も圧迫しているのでたくさんのAIモデルを試したわけではありませんが、唯一、少年っぽく描画できたのはこのモデルだけだったか。

 

こちらでは手持ちのオブジェクト描画を試した。女性警察官が銃器を構えているところをプロンプトで指示するも、そもそも銃器を学習していない。何度やっても奇妙なものを持って描画されていたので、持たせるのを諦めた一枚。その一方で制服はマニアックなくらい精緻に再現。何故か水の中に入っている。

 

経緯④:納得できるAI-MODELを探す、その2

次の2枚もやはり同様のプロンプト(多少AIモデルに合わせて調整)を与えて試したもの。

 

どちらが好みですか?一枚目、めちゃくちゃカッコいいです。でも指定したフラット化やインクペイント的な要素は一切無視された。服装は多少チャイナが入ってますね。二枚目は描画がめちゃくちゃですがイラスト化には成功しています。単にフラットで探すとアニメ系のAIモデルしか出てこないので難儀しました。

 

経緯⑤:好みの筆致になるよう試す。あるいは好みの筆致を探す

ここまで試したイラスト化の試作を踏まえて、もう少し突っ込んでみました。

 

いい感じのイラスト出力となりましたが、まだ線が多い。フラット化が足りない

 

こういうのが描きたい、という感じに近づいてきた。うまくフラット化できている一方で、ドレスの半光沢があるサテン生地感も出せているのはAIならではでしょう。端っこに何故か謎のサインが入る

 

これも良い。ただ、もう少し線を細くしたい、とさらに試した結果が冒頭の「結論」に載せた三枚につながります。尚、ここまではLORAを使わずプロンプトのみで描画させています。

 

風景画の試み

人物イラストもいいですが、風景画も描きたい。背景はAI-MODELによって得手不得手があるように思える。要するにまだまだオマケ。

この出力がいい絵かどうかは別にして、まともに月を描けないAI-MODELもある中で、主役を外した背景をここまで風景画として描けるモデルもあったわけです。ランドスケープや美術に特化したAI-MODELの登場に期待が繋がる。レイヤーを増して他の要素を手書き追加しても良さそう。

人工物や人工光をネガティブにしたので、月がまだ近かった原始地球のような絵柄になりました。進化の過程で海に単細胞生物が生まれた頃の地球から見る月、のような我々のDNAの古い部分に刻まれた原初の記憶を刺激します。

以上