還暦ダイアリー

いつの間にか還暦に。されどまだ還暦、人生カウントダウン始まらず

お経を10年間聴かせた、実にありがたい日本酒のお話

本日(2/4)は母の十三回忌でした。

父、母共に三回忌までは、親戚一同を集めて、遠い霊園までマイクロバス借りて遠征、法要が終わったら会食(ほとんど宴会)という流れにしてましたが(厳密には東北大震災と超大雪で2回中止あり)、七回忌以降は夫婦と弟の三人だけでこぢんまり行っています。

 

ご住職との世間話で、もともとお酒が好きだったご住職が、最近飲めなくなったというくだりから、飲めなくて古くなった酒がある、持っていきます?味が変わってますよ?ということで、長らく祭壇に置かれていた山形の銘酒、『三十六人衆/純米大吟醸』(ただし10年置き)をいただいて帰りました。

 

良い言い方をすれば10年物の古酒です。もちろん日本酒の古酒にはワイン同様に厳重な管理が必要で、古くなっただけの酒を古酒と呼ばないことは重々に承知しております。

しかし、祭壇で10年もの長きに渡ってありがたいお経を聴き続けたお酒です。よくモーツァルトを聴かせて熟成させた酒とかありますが、ありがたさ、尊さはそういうのとは桁違い。

自宅へ帰ったらすぐに開封、グラスに注ぐと、おー、色が変わっている。これも良く言えば淡い琥珀色、悪く言えば古くなった色。

仏壇の父と母に小さいぐい吞みでお供えした後に自分が頂きました。元々の三十六人衆のお味は知りません。

まず香り。古酒の熟成香らしいカラメルっぽさは少し感じますが、それ以外に何だろう、記憶に残る含み香があって、結局何杯も飲んでやっと思い出します。それは、たまにリースリングの白ワインから香るペトロ香(石油に似た香り)でした。驚き。またカラメル香はお酒そのものよりも、むしろ飲み干したグラスから香ってきます。

お味の方は、元々の三十六人衆が有しているのであろう、強いキレがそのまま残っており、以前の投稿での紙パック酒のアミノ酸で合成された味とは全く比較にならない、複雑な熟成味を感じる辛口酒でした。古さとか枯れた味わいは皆無です。

 

そして、この一升瓶を空けるまで糖質オフ生活もお休みが決定いたしました。

 

[追記]

やはり開栓してから時間が経つと酸化が進むのか、香味が変わります(ペトロ香が重くなる)。古酒として製造されたお酒ではないので、開栓する際にはお友達をたくさん呼んで一気に飲んだ方がいいみたい。ただ、時間が経ってもありがたさは変わりません。

 

三十六人衆 純米大吟醸