還暦ダイアリー

いつの間にか還暦に。されどまだ還暦、人生カウントダウン始まらず

ジャケ買いした音盤たち。映画音楽からジャズ、クラシックまで。(パート1)

今の若い方々は『ジャケ買い』という言葉を知っているのかな。
CDやDVDなど、中の音楽や映像の質はともかく、美麗な装丁に惹かれて購買を決めてしまうことで、自分たちの世代は当たり前に使ってましたが、実は今や死語だとか。つくづく、メディアが売れない時代になったのだと実感します
ふとしたことで、これまで結構な数のレコード、CDをジャケ買いしてきたことを思い出し(後述)、並べてみることにしました。健全な男子たる自分は、どう考えても美人アーティストのジャケットにフラフラと引き寄せられているのかと思いきや・・、いや、実際そうなのですが、中にはそうでもないのもありました。

まずはこれ。
20年くらい前に、ディスクユニオンで100円で購入した、フランコ・ゼフィレッリ監督の超有名映画『ロミオとジュリエット』のサウンドトラック・レコード(中古)。
装丁デザイナーのセンスを感じる美麗で良いジャケットですよね。オリビア・ハッセーが美しい。一方、収められているニーノ・ロータの音楽は良く知ってますが、実際のところ購入した20年前当時も今もレコードプレーヤーを持っておらず、一度も針を落としたことがありません。レコード用のフレームを買って今でも家に飾ってあります。

(レコード盤)

 

次。
クラシック音楽界隈でジャケ買い率ナンバーワンじゃないかと思われる、エレーヌ・グリモーさんが弾く、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番です。管弦楽はウラディミール・アシュケナージ指揮によるフィルハーモニア管弦楽団。録音は2000年。
彼女は御覧の通りの美人ですから、この盤に限らずジャケットはいずれもビジュアルを前面に出したものが多いわけですが、この天才ピアニストが弾く音楽は、どの盤もジャケットの印象を凌駕する繊細かつ能弁な名演奏が収められています。
一方で彼女は、かつては左右の対称性に関する強い強迫性障害があり、自傷に至ったこともあるとか。また狼の保護に熱心であることも有名で、自費で保護センターを建ててしまったほど。

そんな彼女が今年の9月、8年ぶりに来日してソロ・ピアノのコンサートやNHK交響楽団と共演するなどを予定しているのですが、会場のひとつがミューザ川崎シンフォニーホールなのです。ご存じの方は多いと思いますが、ホール全体が左右対称ではない微妙なスパイラル構造をしており、どこかの客席フロアは地面に対して平行でなく微妙に傾いた床もあったりします。強迫性障害が過去のものであれば問題ないと思うのですが、彼女は知っているのだろうか。

(CD)

Helene Grimaud: Living with Wolves

(スパイラル構造のミューザ川崎シンフォニーホール

 

次はピアニスト、三浦友里枝さんのデビュー盤。録音は2004年。
このジャケットを目にするまでは彼女のことを全く知らなかったので、ジャケ買いという意味では完全に条件を満たしてますね。『インプレッション(印象)』というタイトル通り、内容は印象派を中心としたフランス・ピアノ音楽名曲集。ドビュッシーラヴェル、サティ、フォーレの小曲が収められています。一時、BGMとしてこのCDばかりかけてました。素直に良いアルバムだと思いますし、デビュー盤に印象派を持ってくるところに自信のほどが伺われます。
今でもフィリアホールドビュッシーの全曲連続演奏会を続けているなど、実力派のピアニストです。

(CD)

 

過去に買ったジャケ買いを思い起こせば、もう美人アーティストばかりがわんさか出てくると思っていたら、さにあらず。さほどクラシック音楽に詳しくなかった10代の頃、1980年くらいでしたか、ジャケットに惹かれて買ったレコードがあったことを思い出しました。
実際にレコードジャケットを手に取っていただかないと、このジャケットの良さが伝わらないと思うのですが、なんてことない中欧の田園風景と空だけというシンプルな光景に、レコード屋で選ぶ手が止まったことを覚えています。
特にこのレコードの記憶が鮮明なのは、音楽の内容が伴っていたから。ドヴォルザーク交響曲第八番、今では使われませんが当時は『イギリス』という副題が付いていました。演奏はジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団で、この曲イチと言っても過言ではない稀代の名盤。デッカ・レーベルの名録音、1961年のカラヤンウィーンフィルの演奏すら超えています。CBSソニーの廉価シリーズで1300円でした。

(レコード盤)

 

美人アーティストばかりじゃないぞと、たった今ジョージ・セルドヴォルザークを誇ったばかりですが、その1~2年後には、もう美人ジャケットに惹かれて、いそいそとジャケ買いしてました。やはり自分は健全な男子です。これももちろんレコード盤で、メゾ・ソプラノのフレデリカ・フォン・シュターデによるフランス・オペラアリア集。お金がかかった管弦楽伴奏付きです。

実はブログのジャケ買い投稿、このレコードを思い出して書き始めました。
今週末に聴きに行く藤原歌劇団公演でのロッシーニの歌劇『チェネレントラ』を耳に馴染ませておくため、アグネス・バルツァネヴィル・マリナーの演奏で聴いています。でも、バルツァの声ではなく、確かクラウディ・アバド盤のDVDで出ていたフレデリカ・フォン・シュターデの声で聴きたいなーと渇望しつつ、そういえば彼女のレコードをジャケ買いしたよなーと思い出したのが本投稿を書くきっかけとなりました。
このレコードはどっかへ紛失してしまって聴くことができないのですが、手持ちの音源だとやはりアバドの指揮で、マーラーの第四交響曲の終楽章にて彼女の可憐な歌を聴くことができます。

(レコード盤)

 

次は芸術絵画のジャケ買い。芸術・・ですが、以下の画像から何となくジャケ買いしたくなる気持ちが伝わりますでしょうか。
内容はリヒャルト・シュトラウスのチェロ・ソナタ(作品番号6)で、チェロがアンドレア・ファヴァレッサ、ピアノがマリア・セメラーロ。ブリリアントというクラシック界隈では廉価で有名なレーベルから発売されています。2015年録音。
ただ、以前もどこかで書いたのですが、リヒャルト・シュトラウスの若い頃の室内楽がとても好きで、ちょこちょこと集めていたうちの一枚になります。このチェロ・ソナタも実に名曲で、ミッシャ・マイスキーロストロポーヴィチも録音しています。ただし、この盤のチェリストとピアニスト両名の名前は知りませんでしたが。
そしてこの絵は、19世紀の英国画家、ジョン・コリアーの手による『レディ・ゴダイヴァ』です。ここに描かれたお美しいご婦人がすっぽんぽんで騎乗している謂れは検索していただくとして、このご婦人が有名なのは、某高級チョコレート・ブランドとして有名なゴ○ィバのシンボルとして使われているから。

(CD)

(某チョコレートブランドのシンボル)

 

次は有名なジャズ盤です
ビル・エヴァンスのピアノ、ジム・ホールのギターによる『アンダーカレント』で、1962年の録音。サロン音楽のように肩の力が抜けたインプロヴィゼーションに聴こえますが、それは丁々発止なプレイを垣間見せない二人の名人芸が成せる業なのでしょう。旋律と伴奏が明確な『スケーティング・イン・セントラル・パーク』を除けば、ピアノとギターの主従はなく、緊張感のある『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』や繊細で美しき『ドリーム・ジプシー』など、陶然と酔える音の綾を紡いでいます。
ドラムスもベースもなく、まだまだハードバップ主流な時代に録音されたことを考えれば、この異色デュオの先進性、あるいは時代を超えた普遍性に驚かされます。
尚、このジャケット写真ですが、聞くところによるとこのアルバムのための写真ではなく、どこぞのフォトグラファーが撮った写真だとのこと。でもいい写真です。レコード盤を買って飾りたいのだけれど、めちゃ高いんです。

(CD)

 

もうひとつジャズ盤から。
今も女優などでご活躍の秋本奈緒美さんのデビュー盤で『ROLLING 80's』。1982年発売。『ジャズ界の百恵ちゃん』的なキャッチで売り出されました。
自分のジャケ買いは、ほとんど間違うことなく良アルバムであったことを誇っているのですが、これは・・・ごめんなさい失敗・・でした。いや、お好きな方は好きなのでしょうが、自分にはどうも彼女のウィスパー唱法が苦手で、そんなにうまいわけでも・・、えーと、それでも、そこそこ聴きこみました。『TEA FOR TWO』とか『チーク・トゥ・チーク』とか鮮明に覚えています。今、改めて聴けば懐かしく感じることでしょう。

(レコード盤)

 

次の渋いジャケットは、ヘルベルト・フォン・カラヤンが1954年に単身初来日した際にNHK交響楽団日比谷公会堂で指揮した記録で、チャイコフスキーの悲愴交響曲になります。音はモノラルですが、そこはNHKの技術陣の素晴らしさ、音楽性は一切損なわれておりません。同じ年にEMIにフルトヴェングラーが残した録音の酷さなんかとは雲泥の差があります。
いいジャケ写だと思いませんか?これもレコード盤で飾りたくなります。

(CD)


まだまだ、この他にもジャケ写を用意していたのですが、懐かしくなって書いていたら長くなってしまいました。ここで中断します。『ジャケ買いした音盤たち・パート2』はまたいずれ。