本日、世間様では祝日でしたが、ウチの会社はそんなに優しくなくて出勤日でした。と言っても在宅なので、出社するわけでもなく、いつもどおりBGMをかけながらのお仕事です。
この『A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli films of Hayao Miyazaki』は、昨年6月に発売された作曲家/指揮者/ピアニストである久石譲のアルバムです。演奏はロンドンの4大オーケストラの一つであるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団。
クラシック・リスナーはこのジャケットにある黄色いレーベルに高いステータスを感じます。言うまでもなくカラヤン、バーンスタイン、カール・ベームなどなど、超一流どころが歴史的な名演奏名録音を残してきた名門ドイツ・グラモフォン社(以下、DG社と略)のレーベルです。
日本人が録音したDG盤で一番古いのは1967年、ヴァイオリニストの海野義雄とハンス・シュミット=イッセルシュテット、北ドイツ放送交響楽団による、メンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲だと・・思います。
続いて小澤征爾氏のボストン響?・・その後はずいぶんと空いて、庄司紗矢香さんの名盤パガニーニの協奏曲、そして最近ではピアニストの松田華音さんのデビューアルバムが話題となりました。あと若いチェリストもいたかな。
そして今般、栄誉あるDG録音の日本人に久石譲氏が加わりました。
DG社との独占契約の内容は、作曲家、指揮者、ピアニストとしての活動全ての録音、映像がDGレーベルから出るという破格の扱い。
その華々しい第一弾は・・・うーん、結局、宮崎駿アルバムでした。
久石さんのアルバムがたくさん出ていて食傷気味(と言うほど聴いてませんが)の宮﨑ジブリ関連かよ、と少しだけ思う。
ご本人はミニマル作曲家であることを常々口にしておりますから、本当は第一弾こそ、そんな現代音楽作曲家、久石譲を前面に出したかったのではと勝手に推測します。
ただ、海外では日本ほどジブリアルバムが発売されているわけではないので、デビュー盤のセールスで勢いをつけるには良い選択だったかもしれません。
さて、よくよく考えてみると自分は宮崎駿作品をそんなに好きではないような気がします。『ルパン三世・カリオストロの城』(ジブリ作品ではないですが)、そして『天空の城・ラピュタ』、この2つの活劇は大傑作です。ラピュタなど映画館であんなに血沸き肉躍った経験はありません。
しかし、あとは『ナウシカ』・・くらいしか面白いと感じたことがなく、『もののけ姫』など、ビデオだったかDVDをレンタルしてから10分だけ観て・・そのまま一週間経ってしまったので返却したことがありますし、近作では『風立ちぬ』を映画館で観ましたが、正直、寝そうなくらいつまんなかった。
えーと、ここまで前置きです。長くなりました。
つまり、宮崎駿映画に対して特に思い入れのない自分が聴く、宮崎駿の映画音楽アルバムです。客観性という意味では非常に公平な耳で、純音楽として聴いたことになります。
恐らく、こだわりのあるリスナーは曲のひとつひとつに一家言あって、映画のイメージとオーバーラップして聴くんだと思われます。もちろん、それはそれで良い聴き方というか、普通の聴き方ではありますが。
DISC 1
01. 映画『風の谷のナウシカ』
02. 映画『魔女の宅急便』
03. 映画『もののけ姫』
04. 映画『風立ちぬ』
05. 映画『崖の上のポニョ』
06. 映画『天空の城ラピュタ』
07. 映画『紅の豚』
08. 映画『ハウルの動く城』
09. 映画『千と千尋の神隠し』
10. 映画『となりのトトロ』
ボーナスDISC
01. 映画『ハウルの動く城』
02. 映画『千と千尋の神隠し』英語バージョン
アルバムを通しで3回聴いた。
これまでろくに久石譲氏の宮﨑アルバムを聴いておりませんが、それでも明らかに今までとは異なるアレンジになっているのが解り、日本語の合唱や声楽ソロまで入ります。このアレンジが全曲を通して統一感を持たせているため、アルバム全体で組曲(あるいはカンタータ・・は言い過ぎか)として聴くことができました。
素直に良いアルバムを堪能できたと言えます。
映画館ではつまんねーと思いながら観ていたハウルの流暢なワルツ、ディズニーばりに楽し気なポニョとか、繰り返して聴きたくなる印象的な曲やフレーズが盛りだくさん。
久石譲侮るべからず。DGから出る次回作が楽しみです。
密かにミニマル・ミュージックを期待。
一方、指揮者、久石譲とは一年後の新日本フィルで、メシアンのトゥーランガリラ交響曲を予定しています。