還暦ダイアリー

いつの間にか還暦に。されどまだ還暦、人生カウントダウン始まらず

情熱と耽美のバンドネオン【ピアソラ:バンドネオン協奏曲】

自分がちっちゃい頃、コンチネンタル・タンゴ好きな母親が、コロンビア・レコードあたりのスタジオ専属楽団が録音した碧空とかジェラシーといった定番曲を毎晩のように聴いてました。

アルゼンチン・タンゴはコンチネンタル・タンゴとは全く別物ですが、小さい頃からそれなりにタンゴのリズムを聴いて育ったおかげなのか(?)、アルゼンチン・タンゴにも抵抗なく入ることができました。ただ、タンゴを含む中南米音楽を好んで聴いていたわけではありません。

アルゼンチン・タンゴとしては難解とされていたピアソラの名前を頻繁に聞くようになったのは、やはりチェリストのヨー・ヨー・マやヴァイオリニストのギドン・クレーメルが盛んに取り上げるようになってからですかね。

 

 

本日のお仕事BGMは、以下の曲を二つの演奏で繰り返し聴きました。

ピアソラバンドネオンのための協奏曲】

 ① アストル・ピアソラバンドネオン

   ラロ・シフリン指揮、セントルークス管弦楽団

   1987年録音(NONESUCH)

 ② 三浦一馬(バンドネオン

   原田慶太楼指揮、NHK交響楽団

   2021年ライブ録音

 

アコンカグア』という副題が付いてます。山の名前らしいですが、これにはピアソラは関与しておらず出版社が勝手に付与したとか。

ヒナステラに師事して純クラシック音楽の作曲家を目指していたピアソラは、ある時からバンドネオンを擁してアルゼンチン・タンゴの革命児となります。だから管弦楽パート(この曲に管楽器は無いですが)も単なる伴奏ではなく、確かな響きでバンドネオンの音色と妖しく絡まっています。この曲はクラシックではないとおっしゃる方々も多いようですが、自分が立派なクラシック作品だと考えている所以です。

汗と情熱が迸る第1楽章、耽美さの中にも潜熱と湿っぽさを感じる第2楽章、コーダでは鼓動のようにバスドラとティンパニがリズムを刻む力強い第3楽章など、非常に魅力あふれる曲です。

定盤中の定盤。ピアソラ自身のバンドネオンを特にフィーチャーした演奏で、ラロ・シフリンが指揮するオーケストラは割と奥へ引っ込んでいる。色気のある第2楽章が美しい。

 

N響演奏会のライブ録音とのこと。最初にこの演奏を鳴らした時、思わず「オケうるさっ」と口走りました。しかし、すぐに慣れてゴージャスなN響のバックを堪能。ピアソラの自演盤と比較すると、ソロと管弦楽とのバランスは紛れもなく協奏曲であることを認識させます。そのおかげで終曲の盛り上がりは格別。N響公演に堂々とラテン音楽を持ってくるあたり、原田さんらしい。

 

ちょうどYouTubeに三浦~原田盤が上がっていたので第二楽章をどうぞ

www.youtube.com