昔語りです。
サザエさん、笑点、日曜洋画劇場のエンディングテーマ。共通点は何でしょう?
これらは昭和の子供たちが憂鬱になった日曜夜の音楽たち。特に日曜洋画劇場のエンディングテーマを聴くと、今でも胸を締め付けられるような郷愁と共に、戻ることができないあの頃を思い出します。
この日曜洋画劇場のエンディングテーマですが、当時、この如何にもラフマニノフっぽい音楽は一体誰の音楽だ?と少しは音楽に通じる人たちは誰もが考えました。
ですが、この頃はインターネットもパソコン通信もない時代で調べようがありません。局(テレ朝の前身、NETテレビ)に問い合わせる方も多かったようですが、担当者が退社したとかで教えてもらうことができません。
結局、知られざるラフマニノフの秘曲だろうと間違った納得のしかたで済ませるしかありませんでしたが、2016年に他界されたピアニストの中村紘子さんまで、そのように思い込まれていたとのことで、お墨付きの間違いではありました。
その一方で、そこそこ音楽に詳しい方は、このメロディがコール・ポーターのナンバーであることまで辿り着いていたようです。しかし、エンディングテーマに使われた編曲が誰のものであるかは、相当な音楽通だけしか知り得ませんでした。
このエンディング曲は、コール・ポーターのミュージカル『Kiss me Kate』のナンバーである『So in Love』を米国の作曲家、モートン・グールドが管弦楽用に編曲した50年代半ばの録音です。
余談ですが、17か18くらいの頃、モートン・グールドが来日して読売日本交響楽団を指揮した演奏会を東京文化会館で聴いたことがあります。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、新世界というメジャープログラムでしたが、演奏内容はさすがに覚えておりません。しかし、アンコール曲がグールド作曲の『American Salute(ジョニーが凱旋するとき)』だったことはよく覚えてます。この曲は映画のダイ・ハードシリーズのどこかでも使われてました。
話は戻ります。ネットが無い時代ではありましたが、年数を経てこの曲がモートン・グールドの編曲版であるということはジリジリと広まり、タイトルは忘れましたが、同曲が収録されたオリジナルのレコードを米国から中古で求める方が出てきました。
すると、米国のディーラーたちは日本からのオーダーや問い合わせの多さに何かを感じたのでしょう、相当な高値がつくようになり、やがて中古市場から消えます。
一曲をめぐるこの騒動は、最終的に版権を持っていたSony Musicが、イージーリスニングのコンピレーションアルバムにこの演奏を収録した2000年代まで続きました。
そのアルバムからの曲をここに直接投稿すると著作隣接権か何かに引っかかりそうなので、下記のYouTubeのリンクを張りました。
一定以上の年齢の方には大変懐かしく感じる音楽です。