本日は、すみだトリフォニーホールにて新日本フィルの定期公演でした。
指揮は楽壇の重陳、マエストロ秋山和慶。曲目は以下のとおりでピアノは児玉桃さん。
細川俊夫:月夜の蓮~モーツァルトへのオマージュ~
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調作品27
まず、細川俊夫『月夜の蓮』については以前の投稿で書いており、今回の演奏会で初めて生で聴いたわけです。
この曲は、蓮が泥濘をかき分けて水面の上に開花するに至るプロセスを、きっと人間の苦悩や何やらからの解放のような比喩として表現しているように思えます。池の水面に広がる波紋のようなピアノの打鍵から始まり、蓮を表すピアノと管弦楽との熾烈な交差、そして、恐らくモーツァルトを引用した穏やかなラストが表現していると推測される月夜の開花まで、興味深く音楽と音響を堪能さていただきました。
こういう曲はナマがいいですね。
そしてもう一曲。
苦手意識、とタイトルに書きました。どうも好きになれないんです。ラフマニノフの交響曲第2番。何故、好きになれないか・・わかりません。
それでも、何度も聴いてます。このひとつ前に聴いたのは昨年11月のジョン・アクセルロッドが指揮した東京音楽大学オーケストラ。古くは20何年か前、ミュンヘンのガスタイクザールでマイケル・ティルソン・トーマスとロンドン交響楽団で聴いたこともあります。お仕事中のBGMでも流しており、アンドレ・プレヴィン盤ならそれなりに聴けている。
本日はもう一つの苦手があって、それはすみだトリフォニーホールそのもの。今年は新日本フィルの定期公演と『扉』公演、あとは合唱団の練習含め、自分史上、最もこのホールへ通ったシーズンとなりました。が、苦手意識は相も変わらず。
その一方で、自分と大変相性が良いのがマエストロ秋山和慶。どんな公演も外すことなく、ほぼ感銘を受けて帰路についています。
苦手x2 vs 相性の良さ。
結果は・・、半々でしょうか。
第一楽章の出だし、割と大きめの音、mfくらいで響かせていたところから引き込まれます。その後も秋山さんらしい、構築感のある演奏が展開され、これは行けそうだと感じていたのですが、第三楽章の冒頭部、素晴らしいクラリネット・ソロのあとくらいから集中力が途切れてきて・・気が付くと仕事のことなどを考えている。そして終曲。
またいつかチャレンジします。
新日本フィルの23-24シーズンの定期演奏会(トリフォニーホールシリーズ)も今日でおしまい。4月からの新シーズンはサントリーホールシリーズへ席替えしています。
でも、来週もう一回すみだトリフォニーホールで新日本フィルの(待望の)演奏会を予定しています。すみだ平和祈念音楽祭2024として、マエストロ井上道義でマーラーの交響曲第3番(チケットは完売)。今度こそ、このホールに対する苦手意識を払拭してくれるものと大いに期待。
また、1997年に行われたすみだトリフォニーホール落成のこけら落とし公演が、先日ご逝去された小澤征爾さんが指揮する新日本フィルで、やはりマーラーの交響曲第3番であったことには何か深い縁を感じます。