還暦ダイアリー

いつの間にか還暦に。されどまだ還暦、人生カウントダウン始まらず

ソプラノ・サックスの哀愁、アルバム『マジコ』(1979年):C.ヘイデン、J.ガルバレク、E.ジスモンチ

昨日のお仕事BGMです

 

『MAGICO マジコ』(ECM1151)、録音:1979年オスロ

 パーソネル:

 チャーリー・ヘイデン(ベース)

 ヤン・ガルバレク(ソプラノ、テナーサックス)

 エグベルト・ジスモンチ(ギター、ピアノ)

左からヘイデン、ジスモンチ、ガルバレク。三人とも若い

中学校の音楽の先生がおっしゃってました。音楽をかけながら仕事をする効率の悪さについて。知らない曲ならまだよいが、知ってる曲をかけるとついつい聴き入ってしまって仕事がはかどらない、と。

半分当たってます。でも、知ってる曲、あるいは気になる音楽が流れてきたら仕事の手を止めて聴き入ってしまえばいいと思う。そのほうが気分転換になって逆説的に仕事がはかどる。本当に集中したいときは音楽をかけませんし。もちろん、このような贅沢は在宅勤務だから許されることではありますが。

そういう観点において、本アルバム『マジコ』は仕事の邪魔をせず、気分を穏やかにしてくれるBGM的にたいへん優れたアルバムになります。

アルバム・ジャケット

 01. バイラリーナ(バレリーナ
 02. マジコ(マジシャン、魔法使い)
 03. サイレンス
 04. スポール
 05. パリャーソ(道化師)

 

本作は、私のお気に入り、ベーシストのチャーリー・ヘイデンが参加した、ECMレーベルから1979年に発売されたアルバムで、なかなかに瞑想的な美しい音楽が収録されています。

それぞれ異なる音楽カラーを持った三人、ノルウェーのガルバレク、米国のチャーリー・ヘイデン、ブラジルのジスモンチ、いずれもECMのトッププレイヤーが集結したらどんな音楽が生み出されるのか。予測不能な期待は予測通りの帰結となり、ECM代表のマンフレート・アイヒャーが目指した『静寂の次に美しい音』を具現化した代表盤になりました。

リズム・パート(ドラムス)が無い編成での即興演奏で、ジャズ音楽を超越した繊細な音楽空間をカタチづくり、透明感のある内省的な展開が心地よい。

年代的に聴く順番は逆になりますが、この後の1989年にヘイデン、ジスモンチのデュオによるライブ、『イン・モントリオール』が発売されます。このアルバムにはヘイデン作曲の『サイレンス』とジスモンチ作曲の『パリャーソ』も収録されており、もはや侘びさび、あるいは静寂閑雅の境地に到達したデュオと聴き比べると、本作マジコではガルバレクの哀愁を帯びたソプラノ・サックスの歌に安らぎがあります。

名作。